TOPページ Doctorニュース 健診結果の見方 ②コレステロールと中性脂肪、どっちが大事?
投稿日:2026年08月19日
健診結果の見方
②コレステロールと中性脂肪、どっちが大事?


健康診断の結果の見方第2弾です!今回はコレステロールや中性脂肪など脂質異常症の結果の見方についてです。
・総コレステロール
・LDLコレステロール
・HDLコレステロール
・中性脂肪
これらが健康診断で調べられる主な脂質の項目です。どれが一番大事でしょうか?もちろん全部大事なので検査するのですが、それぞれポイントがあります。


①まずはLDLコレステロールの結果を見ましょう!LDLは動脈硬化の犯人「悪玉」
LDLはいわゆる「悪玉」コレステロールと言われ、血管にドロドロのコブ(プラーク)を作り、動脈という血管を悪くする「動脈硬化」の主な犯人です。心筋梗塞、脳卒中という命に関わる緊急疾患たちの原因になるので、LDL(悪玉)コレステロールが高いことが命に関わることが伝わると嬉しいです。[1] LDLが高い状態は例えると血管の汚れを表しており、汚れが10年、20年と続けば続くほど血管にサビがたまって傷んで硬くなったり詰まりやすくなったりするのはイメージがつくでしょうか…。そして、これまで世界中の多くの研究で、LDLを下げると心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患が減ったということが示されています。[2] これこそが健診で毎回LDLを調べる所以であり、医師が口うるさく「悪玉コレステロールが高いので気をつけましょう」と言う理由です。なので、まずはLDLの値が高くなっていないか見てみましょう!
余談ですが、LDLを下げる代表的な薬にHMG-CoA還元酵素阻害薬、いわゆる「スタチン」があります(薬の名前にもスタチンとついています)。スタチンは、世界中で心筋梗塞や脳梗塞の予防に大きく貢献してきた薬です。その原型となる物質を青カビの一種から発見したのは、日本人研究者の遠藤章博士です! [3] 世界中で心筋梗塞や脳卒中で多くの方が亡くなる中で世界の医療を大きく変えた、日本が誇る大発見ですね!

②中性脂肪は生活習慣を見直す指標
次は中性脂肪の値を見てみてください。中性脂肪が高い場合は、食事、飲酒、運動、体重などの生活習慣を見直すきっかけになります。[4] 中性脂肪は、体が使い切れなかったエネルギーを蓄えておくための脂肪で、食事や飲酒の影響を受けて値が大きく変動します。極端な例ですが、普段はそれほど高くない人でも、健診前にカツカレーを食べてビールを飲み、その後に採血すると中性脂肪が上がることがあります。中性脂肪を上げるのは脂っこい食事だけではなく、糖質の取りすぎ、多量の飲酒、運動不足、肥満なども関係します。逆に、中性脂肪は食生活の改善、節酒、運動、減量によって大きく低下することが期待できます!直前の食事によって数値が変わるため、中性脂肪の数字で一喜一憂はしすぎないことが大事です。
中性脂肪が非常に高い状態も、動脈硬化性疾患のリスクと関係します。また、極端に高い場合には、急性膵炎という別の病気を起こすリスクが高まります。急性膵炎は過去にお笑い芸人がかかったことで聞き覚えもあるかもしれませんが、非常に強い腹痛を起こし、重症になると命に関わることもある病気ですのでやはり気をつけたいですね。
③HDLコレステロールは「善玉」。低すぎないかをチェック
続いてHDLコレステロールを見てください。HDLはいわゆる「善玉」コレステロールと呼ばれ、血管の壁などにたまった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ善き働きがあります。HDLが低いことは、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高いことと関連します。そのため、健診ではHDLが低くなっていないかを確認します。
④総コレステロールは総合的判断に必要
将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを判断するには、上記の通り悪玉であるLDLコレステロールの影響が最も大きいと言えますが、LDL以外のコレステロールの影響も合わせて考える時に総コレステロール値が必要です。総コレステロール値は名前の通りコレステロール全てを合わせた値ですが、そこからHDL(善玉)を引いたnon-HDLコレステロールを計算すると、VLDLやレムナントなどHDL以外のコレステロールの影響も見ることができ、リスクを捉えやすい場合があります。[5]
ひとつややこしいことに、総コレステロール値単独で「高いから危険」と判断するのは適切ではありません。総コレステロールは、身体を守る方向に働くHDLが高いために総コレステロールが高くなることもあるからです。なのですべての値を総合的に判断する必要があります。
以上短くまとめると、
①まずはLDLコレステロールの結果を見ましょう!LDLは動脈硬化の犯人「悪玉」で、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気の原因になる一番の厄介者
②中性脂肪は生活習慣を見直す指標。食事、飲酒、運動、体重などの生活習慣の改善で比較的すぐ改善しやすい項目として狙い目
③HDLコレステロールは「善玉」でやはり大事。低すぎないかを確認
④総コレステロールは総合的判断に必要。

「健診結果はもらったけど気になることがある」など、どんな些細なことでもかまいませんので、いつでもお気軽にご相談ください。
黒田 格

参考文献:
[1] Ference BA, Ginsberg HN, Graham I, Ray KK, Packard CJ, Bruckert E, Hegele RA, Krauss RM, Raal FJ, Schunkert H, Watts GF, Borén J, Fazio S, Horton JD, Masana L, Nicholls SJ, Nordestgaard BG, van de Sluis B, Taskinen MR, Tokgözoglu L, Landmesser U, Laufs U, Wiklund O, Stock JK, Chapman MJ, Catapano AL. Low-density lipoproteins cause atherosclerotic cardiovascular disease. 1. Evidence from genetic, epidemiologic, and clinical studies. A consensus statement from the European Atherosclerosis Society Consensus Panel. Eur Heart J. 2017 Aug 21;38(32):2459-2472. doi: 10.1093/eurheartj/ehx144. PMID: 28444290; PMCID: PMC5837225.
[2] Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration; Baigent C, Blackwell L, Emberson J, Holland LE, Reith C, Bhala N, Peto R, Barnes EH, Keech A, Simes J, Collins R. Efficacy and safety of more intensive lowering of LDL cholesterol: a meta-analysis of data from 170,000 participants in 26 randomised trials. Lancet. 2010 Nov 13;376(9753):1670-81. doi: 10.1016/S0140-6736(10)61350-5. Epub 2010 Nov 8. PMID: 21067804; PMCID: PMC2988224.
[3] Endo A. A historical perspective on the discovery of statins. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2010;86(5):484-93. doi: 10.2183/pjab.86.484. PMID: 20467214; PMCID: PMC3108295.
[4] 日本動脈硬化学会 一般の皆様へ 健康な生活のために https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/?utm_source=chatgpt.com
[5] 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/?utm_source=chatgpt.com
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