TOPページ Doctorニュース 関節リウマチ(RA)・慢性腎臓病(CKD)合併患者における 生物学的製剤の有効性と考察
投稿日:2025年06月05日
関節リウマチ(RA)・慢性腎臓病(CKD)合併患者における生物学的製剤の有効性と考察

Yoshimura Y, et al. Efficacy and safety of first-line biological DMARDs in rheumatoid arthritis patients with chronic kidney disease Ann Rheum Dis 2024;0:1–10. doi:10.1136/ard-2024-225914
関節リウマチ(RA)に慢性腎臓病(CKD)を合併する症例は少なくなく、治療における制限がしばしば臨床の現場で問題となる。メトトレキサート(MTX)の使用が困難であること、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の腎毒性、さらにCKDに伴う感染リスクの増加など、治療戦略には細心の注意が求められる。本研究は、RAとCKDを併せ持つ患者において初回の生物学的製剤(bDMARDs)使用時の36か月継続率を中心に、有効性・安全性を評価した後ろ向きコホート研究である。対象は2004年から2021年にかけてbDMARDsを導入された425例。推算糸球体濾過量(eGFR)に基づいて≧60、30–60、<30 mL/min/1.73m²の3群に分類し、bDMARDsの種類別にTNFα阻害薬(TNFαi)、IL-6受容体阻害薬(IL-6i)、T細胞共刺激阻害薬(CTLA-4-Ig:アバタセプト)に分類して解析を行った。
結果として、IL-6iはeGFR<30の群でも71.4%という高い36か月継続率を示し、プレドニゾロン(PSL)の減量および疾患活動性の改善も他剤と比較して優れていた。TNFαiは、特にeGFRが低い群で継続率がやや低下し、MTX非併用の影響も示唆された。透析患者群と非透析群の比較では、bDMARDs全体の継続率に有意差はなく、透析中でも一定の有効性と安全性が保たれる可能性が示唆された。一方、アバタセプトに関しては、eGFRの低下とともに継続率はやや低下傾向を示した(≧60: 42.9%、30–60: 37.5%、<30: 33.3%)。しかし、副作用や感染による中止率に有意な上昇はなく、比較的安定した使用が可能であることが確認された。アバタセプトの作用機序はT細胞共刺激抑制であり、感染リスクや免疫抑制のバランスを考慮した場合、腎機能が低下した患者においても一つの選択肢となり得る。特に高齢でMTX非併用、または多剤併用が難しい症例では、穏やかな免疫調整効果と比較的安全な使用感が評価される。
本研究は、RA・CKD合併症例における実臨床でのbDMARDsの使用状況を明らかにし、特にIL-6iの有用性と、アバタセプトの位置づけについて重要な知見を提供している。今後はJanus Kinase (JAK)阻害薬を含むさらなる比較研究が求められるが、本結果は、透析を含む重度CKD症例においてもRA治療をあきらめずに積極的に対応していくための後押しとなる。
中島 昭勝
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